「そんなに素敵な家に住みたいんですか?」

今 放送されているNHK朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。
私は朝ドラが好きなので、毎朝観ています。
これをきっかけに、このドラマのモチーフとなっている実在の雑誌「暮しの手帖」を買いました。

雑誌の印象としては、「豊かな暮し」です。
「本当に豊かとはなんだろう?豊かな暮しとはなんだろう?」
そんなことを教えてくれる雑誌な気がします。


さて、その雑誌の中で、料理研究家の土井善晴さんの記事がありました。
土井先生は、記事の中で、お料理についてこんなお話をされています。
記者「グルメブームのせいで、年々 立派で凝ったおかずが要求される風潮もあります」
土井先生「テレビの影響は実に大きいですね。あそこで映し出されているものは、すべてハレの日のごはんなんです。あの感覚を家に持ち込んだら絶対駄目なんですよ」

土井先生「本当に大事なのは、日常の家庭のシンプルなご飯であるということを忘れてはいけません」


毎日の暮しの中では、料理を作る人が忙しい日もある。そんな時に無理する必要はないということをおっしゃっていて、一汁一菜を提案されています。
冷蔵庫にあるお野菜をなんでもたっぷりいれたお味噌汁と、少しの一手間でおいしく炊いたご飯、そしてお漬物。
それだけで十分 豊かな食事だというお話されていました。


この記事は、土井先生が「そんなにおいしいもんばっかり食べたいんですか?」とおっしゃったことがきっかけだったそうです。


料理をされる方が、こんなことをおっしゃるなんて意外ですよね。
でも、料理をされる方だからこそ、「本当に必要ことは…」と料理の本質を見ておられるんだと思いました。


料理を作るって、しんどいことも多いです。
そんな時に、テレビなどで「料理も完璧な働くママ」みたいなのを見かけると、できない自分は駄目だな~と余計に落ち込むことも…。テレビの影響で少しずつ「主婦はこうあるべき」という理想像が埋め込まれてしまうんだろうな…。

でも、本質を考えてみると、私にとって料理は、家族でおいしく食べること・家族の健康を守ること…でした。そのためには、例えば写真映えするような凝った料理は別に必要ではないです。
料理が好きな方はお店で出てくるようなお料理を作ればいいと思います。それはやっぱり尊敬します!
でも…料理が苦手な私の場合は…そこを目指すと食事を作るだけで疲れてしまうので、楽しい食卓も何もありません(笑)
自分があまり無理しない範囲で、できるだけ毎日 バランス良く楽しく食事が出来ればそれで十分です。



住宅についても、そんな風に思うんです。
いつの頃からか、私も 住宅というものに対し、そんな風に思うようになっていました。

近年では、モデルルームのような家・カフェのような家など、テレビや雑誌から飛び出してきたような家に憧れる方が多く、実際 そのような家に暮らされている方も多いと思います。


もちろん否定はしません!
そりゃ、素敵なものは素敵です!これは間違いないです!
私も、そのような家の写真などを見て「素敵だなあ」と思うことも多くありますし、数日間仕事でかなり疲れていて家が散らかっていた時には、そういうお宅を雑誌やテレビ・ブログなどで拝見したことでやる気がみなぎり片付けをしたことも何度もあります。



でも「住宅」というものを考える時、本質的には土井先生がおっしゃっていることに共感しました。

あんまりそういう家を「素敵な家」の定義にしてしまうと、ちょっと散らかった時・家族が片付けや掃除に非協力的な時、自分の思い込みで自分を苦しめてしまうかもしれません。



「そんなに素敵な家に住みたいんですか?」
私も土井先生の言葉を借りて言ってみます。
「そんなに素敵な家に住みたいんですか?」

生活感がない部屋・お店のような部屋。
本当にそれが、住宅においての「素敵」でしょうか。
そこを目指さないといけないでしょうか。


私が「素敵な家だな」と思う多くは、そこにいる人の暮しが見えてきて温かみを感じる家です。
お子さんの絵が壁に貼ってある・忙しいお母さんが管理しているいろんな書類が工夫して置かれている・お子さんのランドセルや勉強道具が見えている…こういうものも私は「素敵だな」と感じます。
もっと言えば、洗濯物が室内干しされてても、「この家なんだか素敵だな」と思う家もあります。
家は、そういうものがあってもいい場所です。


一歩間違えたら「散らかっている」という印象を持つかもしれないので、片付けは必要です。
散らかっていることは、心にいい影響はないと思いますので…。
さじ加減は難しいかもしれませんが…(笑)


それから、サザエさんやちびまる子ちゃんに出てくる「茶の間」。
これもすごく素敵だと思います。
家族が団らんするには、ちゃぶ台ひとつあればいいんだなァ…と、いつも思います。
6帖~8帖のタタミの部屋とちゃぶ台…これを見ると、いつも「暮しの本質はこれかも」と思うものです。

家=暮しです。
その本質は、家族が仲良く元気でいること・家が一番安らぐ場所だと思うんです。





どんな家でも、あなたの素敵な家になります。
今の家はあんまりきれいじゃないから早く新築したい。
テレビや雑誌で見るような家じゃない我が家はイマイチ。
…そんな風に思っていませんか?

その家も、素敵なあなたの家です。
そこに暮らしているあなたが、住まいや暮しに愛情を持っていればそこは素敵な家なんです!

「忙しくて、そんなにインテリアや掃除に力が入れられない」
そんな方は、まずは一か所 どこか あなたが愛する場所を作ってください。
下駄箱の上、メイクスペース、パソコンデスク、テレビ周りなど…、そこに自分の好きな雑貨や好きな写真などを置いて自分好みに飾って下さい。
それだけのことが、家を愛する第一歩になると思います。

季節ごとに、その場所のディスプレイを変えてみるのも素敵だと思います。
お子さんがいらっしゃる場合は、お子さんに飾ってもらう場所を一か所作っても楽しそう!お子さん自身も、家を愛するということ・ディスプレイを変えたりして暮しを楽しむということを感じるかもしれません。

すると、ちょっとほこりがたまってきたら「拭き掃除のひとつでもしようかな」という気持ちが出てきます。
自分の好きな場所を見た時に、ふと目に入る他の部分もちょっときれいにしてみようかな なんて気持ちも徐々に生まれたりします。


テレビや雑誌で見ている家が「素敵な家」の定義ではありません。
そして、家が素敵かどうかは他人が決めることでもありません。
家に愛情があり、家族全員の心が安らぐ。
それで、あなたの家は素敵なんです。



最後に注意…。
お店のような家・物がないすっきりした家に暮らしている方を否定しているような記事だと思う方もいるかもしれませんが、そんなつもりはありません。
たとえば生活感のないスッキリした家に住んでおられる方は、その暮しを維持するためにこまめな片付け・掃除もよくされていると想像しますので、そういう努力を日々怠らないということはやはり家を愛しているということです。
愛があることは、やっぱり素敵だと思います。


長々した記事でしたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。

関連記事

スポンサードリンク

Theme: 住まい - Genre: ライフ

Comment

  • 2016/09/01 (Thu) 08:53
    間取作造 #Yeq.B2X2 - URL
    No title

    おっしゃる通りだと思います。
    普段着で心地よくいられることが第一だと思います。

    間取りづくりをやっていて
    「カフェみたいな」とか「生活感のない」とかのリクエストが有ると
    ちょっと違和感を感じます。

    良い記事をありがとうございます。

  • 2016/09/01 (Thu) 09:03
    いそまる #- - URL
    Re: No title

    間取作造さん

    こんにちは!

    違和感…感じてしまいますよね…。
    我が家の夫も同じ意見です。
    施主様が悪いのではなく、土井善晴先生がおっしゃったようにメディアの影響なのでしょうね。

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する